「焼酎ハイボール」酒場を巡る旅
田原町 立ち飲み処 ひととなり

気軽な立ち飲み形式で気兼ねなく
「焼酎ハイボール」を心ゆくまで

最近は“チューハイ”の語源を知らない人も多いようだが、「焼酎ハイボール」のことである。昭和20年代、東京下町の大衆酒場で、庶民でも手が届きやすい酒、焼酎を飲みやすくするために、店主が炭酸水などで割ったことが始まりと言われている。

観光地浅草の喧騒から離れた昔ながらの住宅街に佇む「立ち飲み処 ひととなり」は、客の笑顔が絶えない人気店だ。アメリカの鮨店や北千住の老舗居酒屋などで長年腕を磨いた田村貴也さんが一念発起、「一人客でも気兼ねなく過ごせる立ち飲み屋を」と、5年前にこの地にオープンした。

当初、焼酎ハイボールは界隈の客には馴染みが薄かったが、今では“ボール”という通称もすっかり浸透、一杯目から頼む人が大半となった。

評判のボールは、先にキンキンに冷えたびん炭酸をグラスに注ぎ、焼酎とエキスを独自ブレンドした“もと”で満たす、“ 先さきた ん炭”スタイルだ。その味わいにはマッキー牧元さんも笑顔で太鼓判を押す。「強炭酸で風味もアルコール感もしっかりあって、これは旨いね。下町の厚い人情味が詰まっている感じがするよ」

肴はどれも、呑兵衛の心を熟知する田村さんの細かい気遣いが行き届き、実にいい塩梅。ポテトサラダはじゃがいもをチキンコンソメで茹でるとあって味わい豊か。マカロニサラダは隠し味のヨーグルトが効いてコク深い。魚のすり身を玉ねぎやニラなどと練って揚げた熱々の寿揚げも、辛口のボールと相性抜群だ。「立ち飲みの気軽さで、ちゃんと旨い料理をいただける稀有な店。ぬか漬けまで絶品だから、何度も通って全メニュー制覇したくなっちゃうよ」

マッキーさんはまた一杯、旨そうにボールを飲み干した。

ピーマンチーズ豚バラ巻ピーマンを縦半分に切り、ヘタと種を取り除く。ピーマンの内側にプロセスチーズを入れ、豚バラ肉で全体を包む。塩コショウで下味をつけ、魚焼きグリルでこんがり焼いたら出来上がり。ジャンクで力強い味わいが、スッキリ辛口の「焼酎ハイボール」とよく合う!

「立ち飲み処 ひととなり」
立ち飲み屋とは思えない、ひと手間かかった肴と種類豊富な酒を楽しめる。カレー専門店顔負けの「もつカレー」も〆に大人気。
東京都台東区寿3-21-8 ナグモビル1F
03-6755-1345
17:00 〜23:00
月曜

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