「焼酎ハイボール」酒場を巡る旅
葛飾区 串焼いしい

焼きとん&「焼酎ハイボール」は
東京下町大衆酒場の必勝方程式

最近は“チューハイ”の語源を知らない人も多いようだが、「焼酎ハイボール」のことである。昭和20年代、東京下町の大衆酒場で、庶民でも手が届きやすい酒、焼酎を飲みやすくするために、店主が炭酸水などで割ったことが始まりと言われている。

大衆店ひしめく堀切菖蒲園駅前で連日賑わいをみせる焼きとん専門店「串焼いしい」。マッキー牧元さんは席に着くなり、「シロ、豚アゴ、アブラ、ハツモト、味はお任せで」と流れるように注文。酒はもちろん、この界隈で“ボール”の略称で親しまれている焼酎ハイボールで決まりだ。ひと口でクイーっとグラスを半分空け、「旨いねえ」と笑顔に。「穏やかな中炭酸でものすごく飲みやすい。この豚アゴは絶品で、コッテリした味だけど、ボールが脂をスッと切ってくれるのですぐまたもう1串食べたくなる。無限ループだよ」

店主の石井一英さんは、中野の有名焼きとん店の出身だ。会社勤めがしっくり来ず悩んでいたある日、客が楽しそうに憩うその店に光明を見出し、飛び込んだ。いずれ地元の愛媛に帰っても東京の焼きとんはウケるだろうという目論見もあった。10年余りの修業を経て2014年、世話になった店と競合しないこの地で独立を果たす。ところが、問題発生。石井さんは“ボール”の存在を知らなかったのだ。「堀切でやるならボールがなきゃダメだよ、とお客さんに教えられまして(笑)。それで出し始めたら、お酒の注文はもう圧倒的にボールです」

1串110円という驚きの価格は、豚のモツを一頭買いして全て自前で仕込むことで実現。焼き場を任される看板娘・飯村楓さんの丁寧な仕事ぶりもあって、店は今宵も幸せな笑顔に溢れている。

春菊サラダ春菊は茎を斜め切り、葉をざく切りにして冷水に浸け、パリッとさせる。ごま油、顆粒の鶏ガラ出汁、レモン汁、コショウ、フライドオニオンを好みの量で混ぜ合わせたタレと水気をきった春菊、韓国海苔を和えて完成。スッキリ辛口の「焼酎ハイボール」と相性抜群!

「串焼いしい」
駅から徒歩1分! 鮮度のいい豚モツの炭火串焼きをリーズナブルに楽しめる。1本から注文できるのも人気の秘密
東京都葛飾区堀切4-52-5
03-5680-5161
17:00 〜24:00(L.O.23:00)
不定休(月間営業スケジュールはTwitterで)

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