親子三代で暖簾を守ってきた「やきとん高木」はその名の通り、やきとん一筋90年。時代を経てきたやきとんが、舌と腹を唸らせる。そんな味わいに合わせたい、爽やかな喉ごしのタカラ「焼酎ハイボール」なのである。
大正11年に初代が東池袋にあった巣鴨プリズンの向かいに屋台を出し、昭和4年に現在の場所に店を構えた「やきとん高木」。昭和42年に建て替えた店舗は通りに面し、引き戸6枚を横断する大きな暖簾がはためいている。簡素な中にも押し出しのある趣。創業90年と続く秘訣を聞くと、
「うちは初代も二代目も、そして私も酒が飲めません。お酒に飲まれないから、商売を続けて来ることができた」
と三代目主人、高木正順さんの予期せぬ答え。
「初代は、義理の父が養豚所を経営していたことから、このやきとんという商売を思いついたんでしょうね」
品書きは店名の通り、やきとん(レバ、シロ、ガツ、カシラ、タンハツ、アブラ、ミートボール、大ナンコツ、小ナンコツ、コブクロ)がメイン。他には豚煮込みなど数えるほど。
戦時中は、空襲の度にタレを持って防空壕に駆け込んだそうで、やはり秘伝のタレを守るため? と聞くと、
「タレさえあれば、次の日から商売ができるでしょ」
と、笑う。
訪れる人は、総じてやきとんを5本に「焼酎ハイボール」の組み合わせだとか。若者が仲間と連れ立って立ち寄ることも多い。焼きたてでアツアツのやきとんに、喉ごしが爽やかな「焼酎ハイボール」は、まさに黄金の取り合わせだ。何十年という時を経ても客から愛され続けている。
滝野川「やきとん高木」
- 店主
高木正順さん - ● 東京都北区滝野川7-47-1
- 03-3916-1750
- ● 営業時間/17時〜22時30分(L.O.)
- ● 定休日/日曜・祝日
まるで物干し竿に吊されたような暖簾が目印。リーズナブルな料金設定で、若者やサラリーマンが気軽に立ち寄る飾らない店。
- ※ 週刊現代 掲載分
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