曳舟の駅を降りて明治通りを行く。ふと見上げると、南西の空に建設中の東京スカイツリー。いつもと変わらぬ町並みにも、少しずつ変化の波が押し寄せているようだ。
『三祐酒場 八広店』は、京成曳舟駅近くの老舗、三祐酒場から暖簾分けを許された数少ないお店。八広店そのものも創業43年の歴史を持ち、店主の奥野木さんはその二代目である。「煮込みや串カツなど、先代からの味を大切にしながら、新しいものにもチャレンジしてきました」。
この「特大桜えびかき揚げ」はそんな二代目の、渾身の一皿だ。玉ねぎ、桜えび、菜の花に椎茸など彩り鮮やか。何よりも驚くのはその大きさだ。優に20pは超える直径、その重さはなんと300g!!
「旨いのはもちろんですけど、ボリュームがないと下町の人は納得しないんで」とはご主人の弁。
箸を入れてみると“ザクッ”という威勢のいい音。こんなに大きくて分厚いのに、中までサックリなのである。まず高温で形を整えて、それからはところどころ箸で空気を入れながら、低温でじっくりと揚げられる特大かき揚げ。自家製の天つゆにすべきか抹茶塩にすべきか悩むところだが、これだけ大きいのである。すべからく両方試すべしだ。少し辛めの天つゆが衣の脂に馴染むと、桜えびの風味がより引き立ち、抹茶塩ならさっぱりと上品な味わい。
「これも創業からの秘伝の味」という焼酎ハイボールは、酸味のバランスが絶妙で飲みやすさこの上なし。特大なかき揚げを堪能しつつ、ついつい杯を重ねてしまうのだった。
「スカイツリーができて町は変わっていくでしょうが、人は変わらないですよ。この焼酎ハイボールみたいにね」と笑う二代目の自宅冷蔵庫には、タカラ「焼酎ハイボール」が常備されているそう。「よく研究してるなって感心してます」。
変わらぬ下町の変わらぬあの味。タカラ「焼酎ハイボール」は、今日も誰かのお疲れ様を労っている。
- 下町風情の残るキラキラ橘商店街入り口の対面にある老舗酒場。和食の修業を積み、焼酎アドバイザーの資格も持つ二代目の、直球に美味しい料理と厳選された酒に定評あり。特大桜えびかき揚げは650円。魅惑の元祖焼酎ハイボールは350円。京成押上線京成曳舟駅から徒歩7分。17時〜翌2時(日は〜23時)、毎月1、11、21、31日休。墨田区八広2-2-12
03・3610・0793
- ※ 2010.03.13 散歩の達人 掲載分
- ※ 当サイトの掲載情報は各媒体の発行時期の内容のものになります。