残暑厳しい中、スーツ姿で外回り、帰ってくれば冷房ガンガンオフィスでデスクワーク……働くお父さんに、容赦ない季節。そりゃ体にこたえますって。飲み欲は湧いても、食欲が……という方にぜひおススメしたいのが、このガツのピリ辛である。
書を嗜んでいたという先代が書いた暖簾の文字が、歴史と格を思わせる老舗酒場の菊一。
ここのガツのピリ辛は、もつ焼きと並ぶ人気を博している。ガツとは豚の胃袋のこと。その日に入った新鮮なガツのみを湯がき、丁寧に掃除する。下町のお母さんとして常連さんに愛される女将の大橋ヤイ子さん曰く「胃袋には栄養と一緒にカスもくっついてるからね。手間隙かけてキレイにするのよ」。
なるほど、懸念された臭みが全くない。そこに惜しみなくかけられる女将さん特製の味噌ダレ。辛味、そして味噌のコク。後味をさっぱりとさせているのは隠し味のお酢。疲れた体を一瞬にして元気にしてくれる魔法の一皿が完成した。
そしてこの焼酎ハイボール。柔らかな炭酸が、特製ダレの風味を決して邪魔することなく、スーっと胃袋の奥へと誘うのである。焼酎の輪郭をぼやけさせない炭酸とエキスの絶妙なバランス。グッとくる“下町味”の相乗効果に、吾輩の辞書から「夏バテ」という文字が消え去った。
まぁこんな季節だからこそ、お疲れ様の焼酎ハイボールが旨いというのもまた真なり。今日は冷房をオフにして、夜風に吹かれながらタカラ「焼酎ハイボール」で暑気払いといきますか。キリッとした喉越しと柔らかな酔い心地で、夏もがんばる自分に“残暑お見舞い申し上げます”。
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創業60年あまり。「冷凍モノは一切使わない」というこだわりは「お客さんは家族みたいなもんだから、体が心配なの」という女将さんの愛。炭火で焼き上げるもつ焼き一本110円は自家製白キムチ320円とともに。ガツのピリ辛320円。チューハイ370円。17時〜22時30分、土・日・祝休。荒川区西日暮里5-6-10大橋ビル1階
03・3803・4405