下町酒場おつまみ探訪 焼酎ハイボールご相伴フード 散歩の達人推奨no.3 モツ焼き スパイシーなモツ焼きには、焼酎ハイボールでスッキリ&ドライなトドメを

焼酎ハイボールを手に、タレが滴(したた)るモツを串から食いちぎる。その所作があまりにもカッコよく、思わず見とれていると、「俺たちは、こんなちっちぇ時分からモツ焼きを食ってる。このあたりじゃ、おやつみたいなもんだから」とお客さん。

ここ『江戸っ子』は、酒場激戦区・立石で『宇ち多』『ミツワ』と肩を並べる老舗である。店の一番人気は通称テッポー、豚の直腸だ。3cm四方はあろうかというテッポーは、キュッという歯ごたえの後に、唐辛子とニンニクのスパイシーな“辛タレ”が、ジュワっと染み出てくる。
「モツが新鮮だから、タレが中まで染み込むの」と、ママの紀子さん。

香ばしく旨みを増したモツ焼きには、やっぱり焼酎ハイボールがいい! その好相性は、ひっきりなしに飛び交う注文の多さからも窺える。

雄々しいモツ焼きだからこそ、注文もダイナミックでありたいもの。『江戸っ子』では、基本1種4本セットがお約束。しかしそこは、一人飲みも多い下町酒場。その辺の気配りはもちろんあり、レバ、シロ、カシラ、ナンコツ、アブラは2種2本ずつで“混ぜ”可能、タンはハツとならば組み合わせOKだが、焼きとり、つくね、テッポーは“混ぜ”不可……という具合。この大胆にして繊細な注文ルールに、素人客はあたふた。そんな時は知ったかぶらずに、素直に聞くべし。隣席のベテラン客が懇切丁寧に教えてくれるのも、下町酒場の懐だ。

それでもいつかは、壁の短冊を見ずに「アブラ、カシラ混ぜ辛タレ」と、注文できるようになりたいと思うのが、酒飲みの性(さが)。

そこで、今宵はタカラ「焼酎ハイボール」をお供に、我が家で注文ルールの復習だ! ひと缶、またひと缶と、下町酒場で愛されるあの旨さに酔いしれながら……あれ? ナンコツとタンは混ぜていいんだっけ? 終(しま)いには復習もそこそこに、もうひと缶! と、ついつい調子に乗るのもまた、酒飲みの性なのである。

江戸っ子(立石)
昭和38年創業。開店前から行列ができるという、お目当てのモツ焼きは1本80円。白味噌仕立ての煮込み320円も、旨みの染みた豆腐がたまらない逸品だ。名物ママの笑顔に見守られながら、これまた名物の特製ハイボール320円をクイっといきたい。京成押上線京成立石駅から徒歩2分。16時30分〜 21時、日休。葛飾区立石7-1-9
03・3694・9593

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