下町酒場の赤ちょうちんに温もりを感じる季節になってきた。ひんやりとした風が吹くころになると、決まって食べたくなるものがある。コンロの上で、グツグツと美味しそうな音をたてるアイツ、鍋だ。
とはいえ、一人で鍋となると、なかなかハードルの高い、渋すぎる状況。しかしそこは、我らが下町の大衆酒場。見渡せば、汗をかきかき、鍋をつつく紳士淑女たちの姿があった。そう、ここは亀有にある豚ホルモン焼きの名店『大力(だいりき)』。そして、一人でも気兼ねなく食べられる大力チゲが名物だ。
キムチ、カシラ、豆腐、大豆もやしを、野菜の旨みが溶け込んだ特製ダシと唐辛子で煮込む。レバ刺しにも使われるショウガとニンニクが効いた醤油ダレが、具材とスープを一つにまとめ、どこか懐かしい日本人好みの味わいに仕上がっている。
辛みの後にくるカシラの甘み……。人目を気にせずハフハフしたくなるこの小鍋は、大胆にも焼き肉用コンロの上にどーんと載せられる。
その熱々のチゲを流し込むには、やっぱり冷えた焼酎ハイボールが最高。焼酎とエキスのバランスが秀逸で、「配合には一番気を使います。強すぎても弱すぎても、本来の旨さを台無しにしてしまうから」と店長の秋山さん。ゴクゴク飲みたくなる、鍋というシチュエーションにぴったりのアルコール感は、酒飲みの気持ちを懐柔してきたプロの技と見た。
実際、韓国でもチゲ鍋は一人前が基本。大勢でワイワイ囲む鍋もいいが、時には寡黙に熱さ・辛さに対峙してみるのもいい。そして最後は、チゲおじやにして、心地よい酔いにグランドフィナーレを! このチゲ鍋を通じて、一人鍋で飲む心地よさに改めて気づかされるのだった。
秋の夜長、そんな気分を自宅でも味わいたい時には、タカラ「焼酎ハイボール」が絶対におすすめ。すっきり爽快な辛口の旨さは、下町酒場で感じた最高の酔い心地をじんわりと蘇らせてくれるのだ。
- 金町で45年続く老舗『大力酒蔵』の息子さん夫婦が営む、亀有の大衆酒場。大力チゲ870円はもちろん、韓国風と関西風をミックスした特製ダレでいただく豚ホルモン500円〜も人気だ。絶妙な旨さの大力ハイボール320円との相性は推して知るべし。JR常磐線亀有駅北口から徒歩5分。16時30分〜24時、火休。葛飾区亀有5-27-14
03・3628・7743