下町大衆酒場物語 第二十二回 立飲み カドクラ 上野

上野のアメ横側にできた、奇妙な輪$V名所「飲み屋通り」の名店ここにあり

上野のアメ横側には観光名所がない。動物園も西郷どんも駅の反対側だ。ここが近年、新名所となり「飲み屋通り」と呼ばれている。昼から呑んでもサマになるからか、安くてウマい店が軒を連ね始めたのだ。

カドクラの開店は'09年。「作り置きはしない。揚げ物も全部揚げたて」という店主・合田貴也氏のマジメな思いを飲み屋の神様は放っておかなかった。開店してすぐ妙な輪ができた。同店のハムカツが名物となり、誰が呼んだか、近所のハムカツがウマい精肉店などと「ハムカツゴールデントライアングル」を形成していると言われ始めたのだ。店が流行ると、同じ通りに次々同じスタイルの店が誕生した。合田氏はどうなることかと案じたが、次第に「飲み屋の輪」は新名所扱いされ始め、ますます売り上げは伸びた。すると今度は、お客さんで立錐の余地がない日が増えた。合田氏はサービスがおろそかになることを怖れたが、次は「お客さんとの輪」に救われた。常連は店員が多忙とみるや食器を流しに下げていく。こうして合田氏の店は軌道に乗り始めたーー。

と、そんな話をしていると、名物・ミルフィーユ状になったハムカツが来た。一口いただくとこれ、揚げたてを生かしきるためか、衣は普通の2割ほど厚めで、噛むのが楽しくなるほどにバリッとした食感。もうひとつの名物・豚平焼は、これも焼きたてだからこそ、卵はとろふわ、キャベツも絶妙の食感だ。これに辛口の焼酎ハイボールをグビグビ合わせると、もうタマランほど幸せなのに、お値段1050円!なるほど、名所も名物も、誰かが作るものでなく"勝手にできるもの"こそが本物なのだ。そう、この店、歴史は短いが「本物」です。

写真は手前から、名物のハムカツ(300円)と、豚平焼(450円)。ハムカツにはチーズ入り(350円)もある

「立飲み カドクラ」
系列に焼き肉店もあるため肉も安くて旨い
東京都台東区上野6-13-1
フォーラム味ビル1F
03-3832-5335
10:00〜23:30
無休
  • ※ 2016.8.3掲載分
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